11月22日週末の渋谷、午後6時過ぎ、やや強めの雨。渋谷パルコのグランドオープンに街は賑わう。センター街にあるダイニングバー・ヴァンダリズム渋谷で開催された水タバコの煙が揺蕩う、世界の夕暮れを模したボーダーレスでチルアウトな世界観の音楽イベント『どこかの国のSunset』。

夕暮れから星々が煌めき始める僅かな時間、沈みゆく太陽を眺めながら物思いに耽る。一日が終わることへの安堵感と明日への僅かな希望を抱いて過ごすチルアウトな時間。水タバコの煙を吐き出し、ダイニングバーの天井をぼんやりと見上げ、異国情緒あふれる演奏に耳を傾ける。
『どこかにあったらいいな、こんな夕暮れ』をコンセプトとした『どこかの国のSunset』。話題のスパイスマジシャン遠井 香芳里さんの創作スパイス料理とスイーツを味わい、お酒を飲みながら楽しむイマジネーションが解放される90分間。

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アメリカやヨーロッパ、インドやタイなど世界中を巡り、自分の音楽を模索する旅を続けるハンドパン奏者 Koji Matsumotoさん(松本族、スバラシキ)。

2001年にスイスで発明された比較的新しい体鳴楽器『ハンドパン』。一枚の鉄板から出来たU.F.Oのような独特な形の楽器から繰り出される癒しの音色を自在に操るKoji Matsumotoさん。ハンドパンとともに世界中を旅しながら、出会った人や別れた人からインスピレーションを受け、自分の感情とまっすぐに向き合いながら作られた曲を順々に奏でます。一枚の鉄板から出来ている楽器のためチューニングすることが出来ず、楽器それぞれの癖に寄り添いながら、その楽器がもつポテンシャルを引き出し、最高の演奏を聴かせてくれます。ファンタジックな音色とリズミカルな演奏。長年連れ添った二人だからこそできる最高のパフォーマンスでした。

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内モンゴル大学芸術学院音楽学部(モリンホール(馬頭琴)を専攻)を卒業した超本格派モリンホール(馬頭琴)奏者 ウルグンさん。

草原のチェロとも呼ばれ、ユネスコ世界無形遺産に登録されているモンゴル民族伝統楽器 モリンホール(馬頭琴)。弓が弦の上をポンポン跳ねる軽快なモンゴルの民族音楽から、日本でも馴染みのある「荒城の月」などを演奏。
モンゴルの伝統的な歌唱法「ホーミー」をご存じの方も多いと思います。一人で2種類の声(低い声と高い声)を同時に出す、モンゴル民謡特有の歌唱法です。日本では滅多に聞く機会のない「ホーミー」。その魅力は、実際には聞こえない音域の音も含め、「倍音成分」が多く含まれていることにあるようです。「倍音成分」が多いほど人間の情緒と感性を揺さぶる効果があり、潜在的に心地よく感じると言われています。私たちは普段目に見えないもの、耳に聞こえないものからも多くの影響を受けているのだと感じることができる素晴らしい演奏でした。

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インドのシタール奏者ゴパール・クリシャン・シャーの精神を受け継ぎ、インド音楽の枠を超えてシタールの持つ魅力を発信し続けているシタール奏者 田中 悠宇吾さん×ギター演奏 坂ノ下 典正さん、さらに急遽出演の決まったタブラ奏者の森上唯さんも加えたシタール×ギター×タブラのライブセッション。

どこかの国で生まれた楽器は、想いを受け継いだ誰かによって演奏され、その音色は人種を超えて誰の心にも平等に響きわたる。小さな控え室しかない臨時ライブハウスは、ステージを終えた演奏者も水タバコを吸い、お酒を飲み、演奏者同士お互いをリスペクトとし、拍手喝采を送る。みんなが心穏やかに過ごすことができるチルアウト空間。最後は、モンゴルから少し南に下がりインドに辿り着きました。
楽器を通して会話をする3人、エフェクトの効いたシタールの延々と繰り返されるフレーズに会場は不思議な世界に引き込まれる。そこに同調しながらも時にアバンギャルドなインパクトを残すギター、高まるテンションとともに情熱的にリズムを刻むタブラ。3人が奏でるそれぞれの楽器の音色は、時間の経過とともに一つの大きな川の流れとなり、やがて終着地点に辿り着きわずかなノイズ音のフェイドアウトとともに会場は静寂に包まれます。

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今回も自分たちが良いと思った演奏者の方々に集まっていただき、即興性のあるライブでありながら、次の展開への礎となる素晴らしいコンテンツが出来上がりました。次は年明け2020年1月11日(土)秋葉原「SioTown ―塩タウン― 」でお会いしましょう。詳細は追ってこちらのサイトで告知いたします。