コロナ禍により、甚大な被害を受けるエンターテイメント業界。全世界で猛威を振るう新型コロナウイルスにより、日々感染者は増え続けている。みなさんもご存知の通り日本も例外ではない。
それでもエンターテイメントの火を消さないようにと、3密回避と外出自粛を考慮し、自宅に居ながらZOOMなどのオンラインツールで創作する「オンライン演劇」という新たな表現手法も生まれている。
こんな状況だからこそエンターテイメントは求められている。エンターテイメントは、人々に感動や生きる喜びをもたらして人生を豊かにする力をもっている。
そして何よりエンターテイメント業界の復活を待ち続けているファンがいる。「コロナが収束したら、また『あの劇場』で大好きな芝居を楽しもうね。」と心待ちにしている。彼らの期待に応えたいと、「いまできること」を模索し、挑戦し続けている演劇人は多い。
弊社スタッフとともに一緒にイベントをつくっているディレクターであり舞台俳優としても活躍する佐藤正和氏もコロナ禍で演劇の新たなカタチを模索する演劇人のひとりである。その佐藤正和氏から相談があった。新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインを考慮した安心・安全な劇場づくり、そして遠隔地のファンにも元気な姿を届けたいと公演の様子をライブ配信したいというものであった。
会場となるのは東京都銀座にあるConcert Space Ginza SOLA(銀座そら)。まずは会場を下見し、感染防止に配慮した会場づくりに取り組んだ。必要最低限の配信エンジニアやスタッフ数などを決め、ソーシャルディスタンスが確保できるよう客席の配置を考え、消毒のタイミング、公演中のオペレーションなどにより安心・安全な劇場はつくられた。
そして、オンラインチケットを販売するためPeatixでイベントページを作成。今回はVimeoでのライブ配信となるため、ライブ配信用の機材を準備し、検証と調整を繰り返した。
特に舞台監督が気にしたのが、会場とライブ配信での音響の違い。ライブ配信用の音をイヤホンで確認しながら、会場とすり合わせる。ライブ配信を観ている人にも会場の細かい演出が伝わるようにという配慮だ。
佐藤正和氏は、自粛期間中に俳優活動においてオンラインにも可能性を感じていた。黒板ゴローというキャラクターに扮し、YouTubeで不定期に「ゴロー’s BAR」という仮想バーを開店(配信)している。その活動がファンの間で話題となり、今回その黒板ゴローが司会を務めるライブを開催することとなった。トークライブ、音楽、二人芝居の3部構成からなる「ゴローʼs BAR ☆The LIVE」。佐藤 正和氏が数ヵ月ぶりに舞台に立ち、改めて感じる「演劇の醍醐味」を噛みしめながら演じる姿を、私たちは世界中に向けて発信した。
2020年7月30日と31日の2日間のプログラム
19:30~20:30
■トークライブ「ゴロー’s BAR」
出演:黒板ゴロー
30日スペシャルゲスト:塚原大助(ゴツプロ!主宰)
31日スペシャルゲスト:山本泰弘・野村啓介(ブラボーカンパニー)
■音楽
Pf:津山知子 唄:大石みちる
■二人芝居「Close to you」
出演:古山憲太郎(モダンスイマーズ)・佐藤正和
脚本:竹田新 演出:山野海
1日目のトークライブでの話題はやはり「コロナ禍において演劇人として、いまできること」。久しぶりに立つ舞台、お客さんを目の前に喜びを隠せない様子の二人。熱いトークが繰り広げられた。2日目は黒板ゴローの誕生秘話や気心知れた同士の気さくなトークに終始会場は笑いが絶えなかった。
音楽では佐藤正和氏の同級生である津山知子さんが素晴らしいピアノで、初舞台となる大石みちるさんの歌声をサポートしながら、力強くも繊細なピアノの音色で会場を柔らかく包み込んだ。
古山憲太郎さんと佐藤正和さんの二人芝居。カフェオーナーに扮した佐藤正和さんがスマホへの連絡を待ちわびているシーン、カーペンターズ「Close to you」のピアノ演奏で幕を開ける。運命に翻弄される二人、忘れられない幸せな日々、もうあの日には戻れないと分かっている、それでも願い続けるお互いの幸せ。迫真の演技に会場は飲み込まれた。
閉幕とともに出演者には惜しみない拍手が送られた。やっぱり面白い。
Twitter(#ゴローズバー)には「舞台で動いてるゴローさん見てるだけで、すでに泣きそう」「トークで笑って ピアノと歌は心躍って 芝居は心揺さぶられた」などなど多くの喜びの声が寄せられていた。